DX推進

2022年6月議会代表質問

DX(デジタルトランスフォーメーション):デジタル技術の活用による新たな商品・サービスの提供、新たなビジネスモデルの開発を通して、社会制度や組織文化なども変革していくような取組(出典:総務省)

現状と課題

人口減少・少子高齢化等に対応し、持続的な発展を実現するためには、飛躍的に発展しているICT(情報通信技術)の効果的な利活用が不可欠です。しかしながら、日本の押印文化は未だ根強く残っており、県庁内の業務効率化を推し進めていくことと同時に、県民がデジタルの活用によって一人一人のニーズに合ったサービスを選ぶことができるデジタル社会の構築を目指し、誰もが、いつでも、どこでも、デジタル化の恩恵を享受できるように取り組みを加速させなくてはなりません。

千葉県の取組

千葉県では、デジタル技術を手段として効果的に活用し、市町村や民間団体など様々な主体とともにデジタル・トランスフォーメーションの推進に向けて取り組んでいくため、「千葉県デジタル・トランスフォーメーション推進戦略」の策定を進めています。

千葉県はDXを推進するため、令和4年10月25日に日本マイクロソフト株式会社と包括連携協定を締結しました。

【協定内容】
(1)デジタル人材の育成に関すること
主な取組: 幹部職員及び管理職員向け働き方改革セミナー、階層別の研修 等


(2)行政のデジタル化に関すること
主な取組: 各課へのDX推進に関するアドバイス 等


(3)デジタルを利用した学校教育に関すること
教育委員会が締結している連携協定に基づく取組を継続

  1. 県立学校におけるICT活用向上に関すること
  2. 教員の授業力向上に関すること 等

(4)その他、本県のDX推進に関すること
県民向けの取組 等

水野ゆうきの活動

2021年6月定例会代表質問~熊谷知事が実感した県庁の課題~

水野質問:熊谷知事が知事に就任されてから約2か月半が経過いたしました。千葉市長を約11年務められた期間も、千葉市において押印の見直しに最も早く着手するなど、市民目線の行革に努め、改善を図ってこられました。

実際に熊谷知事が知事就任後に実感した県庁内の課題は何でしょうか。また、その課題について熊谷知事はどのように考え、どのように改善をしていくのでしょうか。

2021年6月代表質問に登壇する水野友貴

熊谷知事答弁:就任後に実感をした県庁内の課題についての御質問ですが、私が就任後に実感をした県庁内の課題としては、電子申請システムが十分に活用されていないことや、電子決裁の実施率が低いことなど、改善すべき点があると認識をいたしました。

そこで、県民や事業者の申請に係る負担軽減や、庁内の事務効率の向上を図るため、機能拡充した電子申請システムの利用促進や電子決裁の徹底などを指示したところです。今後、デジタル業務改革担当部長を中心に、デジタル技術の効果的な導入を推進し、業務の一層の効率化、合理化を実現することにより、県民や事業者に時間を返す行政改革を徹底してまいります。

2022年6月定例会代表質問~DX推進~

水野質問:デジタル化についてお伺いいたします。スイスの国際経営開発研究所、IMDが発表した世界デジタル競争力ランキング2021では、日本の総合順位は64か国地域中28位と過去最低となりました。今後、一層人口減少、高齢化が進展する中で経済成長を実現するには、生産性向上のためにDXは不可欠であり、特にコロナ禍を契機に変革が必要なことは明らかです。デジタル社会において日本が致命的な遅れを生み出した背景として、グローバルの潮流変化に対する日本の感度の低さや実権を持つ方々がデジタル技術を敬遠してきた傾向が指摘をされております。

2021年6月定例会代表質問

ちょうど1年前の熊谷知事の知事就任後初めての定例会における私の代表質問に対し、知事が感じた県庁の課題としてデジタル化を挙げられ、知事就任以降、業務プロセスのデジタル化を図っているところです。DX化を促進していくためには、県民、行政事業者が一丸となってDXに取り組まなくてはならない意義を把握することが大事です。幅広い理解を得るには、行政のデジタル化がどのような目的で行われ、実現するとどのようなメリットをもたらすのかなどについて明確に、そして丁寧に県民や事業者に示す必要があると思います。

デジタルトランスフォーメーションの推進に当たっては、あらゆる手段を用いて知事や行政が県民や事業者の理解促進に向け取り組むべきだと思うが、どうか。

熊谷知事答弁:デジタルトランスフォーメーションに係る県民や事業者の理解促進に関する御質問ですが、デジタルトランスフォーメーション、いわゆるDXを県民や事業者とともに推進していく上では、暮らし、仕事、産業などがどのように変わり、便利で豊かになるのか理解をしていただき、DXの必要性を認識していただくことが何より重要です。

現在、県では、県が目指すDXの方向性をお示しするため、DX推進に関する戦略の策定を進めていますが、この中で推進により目指す姿の具体像やDXで得られるメリットを分かりやすく説明することとしています。その上で私自身もDXの必要性について様々な機会を捉えて発信することにより、県民、事業者の理解を得られるよう努めてまいります。

水野質問:次に、デジタル化の推進に当たり、千葉県としてどのようにICT技術を利活用し、DXに対応したスマート県庁に転換をしていくのか、具体的に質問をしてまいります。複雑多様化する社会経済情勢の変化に伴い、千葉県としても千葉県行財政改革計画を策定し、目指す県庁の姿としてスマートで機能的な県庁を明記しております。県庁内の業務効率化を推し進めていくことと同時に、県民がデジタルの活用によって一人一人のニーズに合ったサービスを選ぶことができるデジタル社会の構築を目指し、また誰一人取り残されない県政運営をしていくことが重要です。

県民の多種多様な環境やニーズ等を踏まえて、ユーザー目線できめ細かく対応していくことによって、誰もが、いつでも、どこでも、デジタル化の恩恵を享受できるように取り組んでいく必要があります。

まず1点目、今後、県民がデジタル化の恩恵を受けられるようにするために、県として具体的に行政手続のデジタル化にどのように取り組んでいくのでしょうか。

熊谷知事答弁:次に、スマート県庁への転換についてお答えをいたします。今後の行政手続のデジタル化への取組に関する御質問ですが、県では、県民や事業者の利便性や生産性の向上を図るため、行政手続のデジタル化を推進することとしています。具体的には、今年度から申請件数が多い約600の行政手続について、オンライン申請様式の作成や業務フローの見直しを集中的に実施し、今後3年間でオンライン化を図ることとしています。引き続き、デジタル技術の活用や業務プロセスの改善を通じて、県民がデジタル化の恩恵を実感できるよう取り組んでまいります。

答弁する熊谷知事

水野質問:2点目に、マイナンバーカードについてです。本県のマイナンバーカードの交付率は、令和3年11月時点で約4割にとどまっており、国では令和4年度末にほぼ全国民、県では令和6年度にほぼ全ての県民への普及としておりますが、目標には程遠い状況です。

マイナンバーカードについては、国では健康保険証を将来的に原則廃止し、マイナンバーカードに一本化する方向で政府が検討に入り、ポイント還元等のキャンペーンを行うなど、あらゆる取組を行っているところです。また、運転免許証との一体化も令和6年度に開始するなど、今後、利用範囲が拡大していくことが見込まれております。一方で、マイナンバーカードのセキュリティー対策及び個人情報流用のリスクを危惧する声も多く、マイナンバー制度のメリットと同時に、セキュリティー対策等についても丁寧に県民に説明をしていくことは、デジタル社会の実現には欠かせないことであると思います。

マイナンバーカードの普及の現状と課題はどうでしょうか。また、今後どのようにして県は普及させようと考えているのでしょうか。

穴澤副知事答弁:マイナンバーカードの普及についての御質問ですが、マイナンバーカードは、デジタル社会を実現するための基盤となるものであり、健康保険証としての利用や住民票等のコンビニ交付サービスなど、順次その用途が拡大しているところです。本県における交付率は、令和4年5月1日現在で44.9%であり、取得を促進するためにはカードの利便性などについてさらなる周知が必要であると考えています。

国では、カードの普及促進に向け、用途拡大による利便性の向上のほか、カードの取得等に対してポイントを付与する事業などを実施しています。県としては、こうした国の取組も踏まえ、市町村とも連携を図りながら、カードを持つことのメリットなどを分かりやすく広報するとともに、取得の際の利便性向上に係る取組を支援するなど取得促進に取り組んでまいります。

水野質問:3点目に、オープンデータについてです。政府はデジタル田園都市国家構想を掲げ、オープンデータの推進も、その構想の重要な取組の一つに位置づけられております。自治体や企業がデジタル化を進め、その副産物として所有する情報をデジタルデータとしてオープンにし、それを様々な個人や団体が二次利用することで、地域や社会の課題解決や新たな産業の創出、振興につながっていきます。県内でも多くの自治体がオープンデータの推進と活用に取り組んでいる中、県においても積極的な取組が必要です。

県のオープンデータの進捗状況はどうか、また今後の課題はどのように考えているのでしょうか。

穴澤副知事答弁:オープンデータについての御質問ですが、オープンデータは、人口統計など誰でも利用可能な公開されたデータであり、地域課題の解決など幅広く活用されることが期待されています。県では、県ホームページにおいて千葉県オープンデータサイトを開設しており、国が公開を奨励するデータを整備して順次掲載するとともに、県のデータ活用事例を紹介しています。さらなる利活用を進めていくには、オープンデータの継続的な更新やデータの拡充において、業務がオープンデータを前提としたプロセスになっていないことが課題であると考えております。

このため、プロセス全体の見直しを含めた業務のデジタル化を着実に推進することで、その課題を解決し、さらなるオープンデータの利活用の促進を図ってまいります。

水野質問:最後に、スマート県庁への転換に向けた課題の一つとして、デジタル人材の育成について伺います。県では、デジタル関連施策を一体的かつ効率的に進めるとともに、業務改革をより一層推進するため、総務部にデジタル改革推進局を新設し、局にはデジタル戦略課とデジタル推進課を新設、情報システム課と合わせて3課体制を整備いたしました。行政のデジタル化を推進していくためには、職員の意識改革はもとより、最新のデジタル技術やIT知識に精通した人材を積極的に確保し、育成することは必要不可欠です。

また、単なる業務効率化のためのデジタル化ではなく、仕組みや既存の業務の変革に取り組むDX人材を育成していかなくてはDX化がゴールとなってしまい、目的が不明瞭となってしまいます。県庁全体でなぜDXを行うのか、その目的を共有し、職員一人一人がデジタル化に前向きに取り組む環境を整備していくこともスマート県庁に向け大切な要素になると思います。
 デジタル化に対応できる職員の人材育成、スキル向上にどのように取り組んでいくのでしょうか。

熊谷知事答弁:次に、デジタル人材育成・スキル向上に関する御質問ですが、県では、これまで全ての職員を対象にDXの基礎的な知識を習得するための研修や、管理職向けに意識改革を促す研修などを実施してきましたが、スマート県庁への転換を進めるためには、研修の一層の充実を図る必要があると考えています。そこで、これまでの取組に加えて、今年度はより専門的な知識を習得するための研修により、県庁のDXを支える人材を育成するとともに、行政手続のオンライン化に向けた研修など職員のスキル向上を図ってまいります。

水野要望:スマート県庁への転換について要望させていただきます。DX化による働き方改革が推進されている一方で、コロナ禍で定着したテレワークですけれども、仕事と私生活の境界が曖昧になってしまって、就業時間外でも仕事ができてしまうという環境が整備されてしまったと言えます。本来、デジタル化を契機として業務の在り方を変革することも大きな目的の一つであったにもかかわらず、残念ながら日本では逆効果になってしまっているというような指摘も聞いております。

2022年6月議会代表質問

海外では、デジタル機器の適切な利用を通じて、心身の健康を確保するデジタルウェルビーイングが重視されています。就業時間外の業務連絡を拒む、いわゆるつながらない権利をフランスが労働法に規定し、導入が広がっています。デジタル化の推進とともに、副作用として生じてくるような課題についても、適切な対応をお願いします。

そして、デジタル化に関して、全ての県民が同じスピードで進んでいるわけではないと思います。どれだけ便利になろうとも、やはりアナログを好む県民がいることも事実です。だからこそ、なぜDX化を進めなくてはならないのか、こういったところも丁寧に県民に説明を心がけていただきたいと思います。

令和5年度予算要望~DXへの転換~

重点施策として、DXへの転換を熊谷知事に対し要望しました。

理解促進に向けた取り組み

DX化を促進していくためには、県民、行政、事業者が一丸となってDXに取り組まなくてはならない意義を把握することが重要である。デジタル・トランスフォーメンションの推進にあたっては、その目的やメリット等について、あらゆる手段を用いて丁寧に県民や事業者の理解促進に向け取組んでいただきたい。

デジタル人材の確保

スマート県庁を推し進めるためにはデジタル人材の確保が必要不可欠である。民間等から積極的に登用するなど、民間と行政の間を埋め、デジタル先進県になるよう取り組んでいただきたい。

市町村支援

DX化に取り組む市町村を支援し、導入が遅れている市町村については成功事例や企業等を照会するなど、県民が千葉県のどこに住んでいてもDXの恩恵を享受できるよう県には市長への丁寧なサポートをお願いしたい。

熊谷知事に要望書を提出する水野友貴