保育行政の充実

子供とハイタッチする水野友貴

現状と課題

我孫子市では待機児童ゼロを堅持していますが、千葉県では令和4年4月1日現在の保育所等利用待機児童数は250人となっています。年齢別では、1歳児が112人と最も多く、全体の約45%を占めており、0から2歳児は188人と全体の約75%を占めています。 待機児童が発生している自治体は、令和3年4月1日現在は13市でしたが、 令和4年4月1日現在は14市町となっています。

(表)保育所等利用待機児童数

市町村において、保育所の創設、既存施設の定員増や小規模保育事業所等の設置が進められた結果、保育サービスの利用枠が大幅に拡大され、保育所、 認定こども園及び地域型保育事業等を合わせた利用定員は令和4年4月1日現在では昨年に比べ、4,191人増加しました。利用者や施設の増加に伴い、保育士の確保は重要な課題となっています。

水野ゆうきの活動

保育園における多様な保育ニーズに合ったきめ細やかな保育サービスの展開

もうすぐ卒園の年長であっても、預けている保護者が突然失職した場合1か月の就職活動期間の猶予の期間を過ぎてしまうと預けられないという仕組みについて、我孫子市の保護者の方々から改善の要望を承りました。すぐに改善を我孫子市に要望し、「年長に限っては」仕事に就けなくても就職活動を続けていればお子さんを預けられるよう仕様を変更していただきました。

2021年6月定例会代表質問~保育士確保と保育士の処遇改善~

水野質問:千葉県では、保育を支える保育士確保のため、平成29年10月から市町村に対し千葉県保育士処遇改善事業補助金を創設し、平成29年度6月補正後の予算額は5億5,000万円であったのが、令和3年度は当初予算額で19億9,950万円まで増額をしていただいているところです。しかしながら、東京都では離職率等も考慮して試算すると、令和2年度から令和4年度までの3年間で保育士2万8,000人必要とされており、保育士不足がさらに懸念されるところです。

2021年6月代表質問に登壇する水野友貴

千葉県における待機児童は、令和2年4月1日時点では833人で、施設整備をしても保育士不足によって保育所等に入ることができない子供が120人いるとのことです。また、待機児童ゼロの市町村であっても、ゼロを堅持するためには財政が厳しい状況下で独自の補助金を交付するなどの工夫をしています。

県では、平成25年8月からちば保育士・保育所支援センターを開設し、保育士人材確保の取組を実施しているところですが、東京都に隣接している市や東京都への利便性の高い地域においては、千葉県ではなく東京都の保育所等を職場に選ぶことも考えられます。東京都の受皿の拡大に伴い保育士不足が一層厳しくなっているが、千葉県の保育士の確保に向けた取組状況とその成果はどうでしょうか。

滝川副知事答弁:保育士の確保に向けた取組と成果についての御質問ですが、県では、修学資金の貸付け等による保育士資格取得の支援や、ちば保育士・保育所支援センターにおける就職支援のほか、市町村と連携して保育士給与に上乗せを行う保育士処遇改善事業の実施など、様々な角度から取組を進めています。直近の調査では、県内の保育所等に勤務する保育士数は約2万8,000人であり、3年前と比べて約6,000人の増加となっていますが、保育士不足により待機児童が生じている状況もいまだうかがえることから、引き続き市町村と連携し、保育士の確保定着に取り組んでまいります。

水野質問:深刻な保育士不足の背景には、保育士の給与も指摘をされております。保育士の給与に直接影響する国が定めた公定価格を是正することが重要だと考えます。公定価格で換算された人件費は国の基準で決められておりますが、公定価格で計算されている保育士人数と実際に働いている保育士人数のギャップによって保育士の給与が下がってしまうという実態があります。

現場では国の配置基準で対応することは難しく、配置基準以上の人数の保育士を雇っている場合でも人件費総額は変わらないために、1人当たりの賃金が公定価格の金額より低くなってしまいます。実際の現場における保育士配置数は国の基準の1.8から2倍と言われており、さらに、この公定価格の地域区分によって、千葉県内においても市町村によって給与格差が生じてしまっています。公定価格における地域区分は、国家公務員及び地方公務員の地域手当の支給割合に係る地域区分に準拠し設定されており、弾力的な見直しはされているものの、地域区分の高い地域に保育士が就業してしまうなど、保育士確保に向けた対策は非常に複雑です。

県内の保育士の給与に地域間格差が生じていることに対しての県の認識はどうでしょうか。また、県としてどのように対応をしていくのでしょうか。

滝川副知事答弁:保育士の給与についての御質問ですが、民間保育所等の運営に係る費用については、地域区分、定員区分、子供の年齢区分を勘案して国が定めた公定価格を算定基礎とし、市町村から支給されています。公定価格の地域区分は、地域における物価の違い等に対応するものとして市町村ごとに県内では7区分が設定されており、結果として保育士の給与に差が生じている一因となっていると認識しています。このため県では、国に対し公定価格の地域区分について、地域の実情を反映した設定にするよう要望することとしており、様々な機会を捉え、国に働きかけてまいります。
 
水野質問:給与面のみならず、働きやすさということも非常に重要です。依然として保育士の労働環境は厳しいとされる背景には、労働時間の長さや、子供の保育と並行して保護者への配付物や連絡帳の記載、行事の準備、事務作業も多く伴い、業務量の多さが指摘をされています。また、離職の原因として職場の人間関係を挙げる割合も多く、精神的なストレスを抱えてしまう保育士一人一人が悩みを抱え込まないように精神的にケアすることも必要となってきます。

このような労働環境を改善することは、保育士の人材の定着化に役立ち、離職率の減少につながるはずです。保育士の働きやすい環境整備に向けてどのように取り組んでいくのでしょうか。

滝川副知事答弁:保育士の働きやすい環境整備についての御質問ですが、県では、国の基準を上回る保育士の配置や、保育補助者及び給食の配膳、清掃などを行う支援員の雇用に要する費用を助成しています。また、保育所経営についての専門的知見を有するコンサルタントが保育所等を訪問し、園長等に対し、職員との関わり方や職場環境に関する助言を行う巡回支援などを実施しているところです。

今後とも、保育士の確保定着のため、保育の実施主体である市町村と連携を図りながら、給与面の改善のほか、業務負担の軽減や職場の良好な雰囲気づくり等に支援するなど、働きやすい職場環境の整備を進めてまいります。

水野要望:国に公定価格については要望していただけるという御答弁、ありがとうございます。保育の現場で本当に必要とされている保育士の人数を国の基準として設定をして、そして公定価格を改善することによって、人員不足による保育士の仕事量の多さも改善されると思います。また、公定価格の地域区分が市町村ごとに設定されておりますことから、隣接区域との差が生じているところで、地域の状況を反映した区分の設定を引き続き国へ働きかけていただきますように要望をいたします。

令和5年度予算要望~千葉県保育士処遇改善事業費補助金~

我孫子市は、財政事情が非常に厳しい中でも、計画的に保育所等施設整備を実施するとともに、保育士確保のため、平成4年度から民間保育園等に対し、職員給与加算手当として補助金を交付しながら36年間待機児童ゼロを堅持してきました。
保育を支える保育士確保のため、千葉県は、平成29年10月から市町村に対し「千葉県保育士処遇改善事業費補助金」を交付しています。

しかしながら、東京都や近隣市の保育の受け皿の拡大に伴い、保育士不足が一層厳しくなっている現状を踏まえ、本市は待機児童ゼロを堅持するため、平成30年度からさらに保育士の処遇改善を実施したところです。

令和5年度知事へ要望・協議

国の保育士等処遇改善臨時特例交付金により、保育士等の収入を3%程度引き上げる措置が令和4年2月から実施されたものの、今後も保育を支える保育士確保のため、令和4年度以降において、「千葉県保育士処遇改善事業費補助金」をさらに増額するよう、熊谷知事に要望を行いました。