地域に即した医療整備計画と在宅医療の充実

2018年6月議会の一般質問に登壇する水野ゆうき

現状と課題~在宅医療~

今後、千葉県の総人口は緩やかな減少を続け、令和7年には 611万8千人に減少する一方、65歳以上の人口は179万1千人に達すると見込まれています。特に75歳以上の人口の増加は顕著で、全ての団塊の世代が75歳以上となる令和7年には107万2千人になることが見込まれています。

疾病構造の変化や高齢化の進展、医療技術の進歩、QOL向上を重視した医療などにより、在宅医療のニーズは増加し、多様化しています。病床機能の分化・連携が進んだ先に在宅医療等の利用見込者数は令和7年に1日当たり7万8千人になると見込まれており、そのうち訪問診療のニーズは平成25年度の 1.8 倍以上になると推計されています。
しかしながら、県内の在宅医療資源は全国平均と比較すると相対的に少なく、在宅療養支援診療所が1箇所もない市町村があるなど資源の偏りも見られます。

人口10万人あたりの施設数

施設千葉県全国平均
在宅療養支援診療所・病院6.6箇所12.5箇所
在宅療養支援歯科診療所4.8箇所6.7箇所
在宅患者訪問薬剤管理指導料届出薬局31.6箇所41.4箇所
訪問看護ステーション6.2箇所9.2箇所

在宅医療を必要とする方の中には、通院による診療を受けながら必要に応じて訪問看護などのサービスを受ける患者も含まれます。外来での診療を通じて患者の生活を支援し、通院が 困難になっても適切に往診・訪問診療につなぎ、在宅医療を担う多職種の協働を推進することが必要です。自分が最期を迎えたい場所として、実に県民の47.1%と約半数近い方ができるだけ自宅や老人ホームなどの居住の場での療養を望んでいるにも関わらず、医療機関で亡くなる方は7割を超えており、県民の希望と現実には大きなギャップがあります。

さらに、そのためには在宅療養を希望する患者を日常的に支える医療体制の整備及び在宅医療を担う医師・歯科医師・薬剤師・訪問看護師等の確保と質の向上が重要です。

※在宅医療=居宅、特別養護老人ホーム、養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム、介護老人保健 施設、その他医療を受ける者が療養生活を営むことができる場所であって、現在の病院・診療所以外の場所に おいて提供される医療

水野ゆうきの活動

2018年6月定例会一般質問~がんの終末期医療・在宅緩和ケア~

県がインターネットで実施した平成29年度医療に関する県民意識調査によれば、病気で長期にわたる治療が必要になった場合に入院治療を希望すると回答した方は34.2%、在宅医療を希望すると回答した方は34.4%でした(残りはわからない)。

水野質問:私の身近でもがんにり患し、住み慣れた地域、つまり在宅での療養を望む声が存在しているものの、そもそも在宅医が不足していることや、在宅で患者が望むようながん治療を行うことができる医師がいないことなど、本県における在宅緩和ケアの提供体制に課題がある。
在宅での終末期を望むがん患者に対する緩和ケアの課題と取組状況はどうか。

県答弁:本年3月に策定した第3期千葉県がん対策推進計画では、在宅緩和ケア提供体制の充実にあたり、それを担う人材の育成や多職種間の連携強化、また、患者・家族の求める情報の提供などが課題とされた、こうしたことから、県では県内15か所のがん診療連携拠点病院等が開催する緩和ケア研修に、広く地域の医療・介護従事者の参加も促し、人材育成や連携強化に取り組むとともに在宅緩和ケアを提供する施設等の情報を県のウェブサイト「ちばがんなび」を通じて県民に発信するなど、在宅緩和ケア提供体制の充実に努めていく。

水野再質問:千葉県においては在宅医療の進み具合については地域間格差がかなりあり、医師会などで在宅医療に力を入れているところもあればそうでない地域もある。自分らしい暮らしを人生の最後まで望む県民の意思に応えていくためにも、そして、尊厳保持という観点からも、がん患者の在宅医療に対する地域の支援体制を整えていくことは、非常に重要。県で抱えている課題として、答弁で担い手不足が出た。がん患者の看取りができる担い手を増やす必要があると思うが、県としては、どのように取り組んでいるのか。

県答弁:県では昨年10月、患者の終末期の生活を支援する介護スタッフに向けて、具体的なケア方法をまとめた緩和ケアマニュアルを全国に先駆けて作成。今後はそのマニュアルを活用した介護職への研修会のほか、在宅医や訪問看護ステーション等によるがん患者への対応等を支援するための在宅医療スタートアップ研修を開催するなど緩和ケアを担う人材育成に努める。

2022年2月定例県議会代表質問~在宅医療の充実~

千翔会代表質問:高齢化の進展に伴い、特に千葉、東葛南部及び東葛北部の各保健医療圏では、入院需要の大幅な増加が想定されます。今後、医療技術の進歩やQOLの向上のための医療を目的とする患者の増加等も鑑みますと、病床機能の分化や連携を進め、在宅医療を充実させていくことは、県民の命と健康を守ることになります。


在宅医療ニーズに対応するためには、訪問診療等の医療資源の充実や各機関及び市町村との連携、急変時の対応、在宅でのみとり等、多岐にわたって強化していかなくてはなりません。特に、在宅医療資源については全国平均と比較しますと相対的に少なく、在宅医療支援診療所が1か所もない市町村があるなど、県内での資源のばらつきが生じています。在宅医療の充実に向けて、県は今後どのように対応していくのか。

滝川副知事答弁:在宅医療の充実についての御質問ですが、在宅医療に対する需要は今後増加すると見込まれることから、県では医師等を対象に訪問診療に関する研修等を行い、在宅医療に取り組む施設や人材の増加を図るとともに、安定的に質の高いサービスが提供されるよう、規模の拡大等に取り組む訪問看護ステーションを支援しています。

また、在宅医療においては、多施設、多職種間の連携が特に重要であることから、地域にふさわしい連携協力体制の構築に取り組む地域の医師会に対し助成を行っているところです。こうした取組等により、県内の在宅療養支援診療所や機能強化型訪問看護ステーションの施設数が増加するなど在宅医療資源の整備が図られてきており、今後とも取組を継続強化してまいります。

現状と課題~医療整備計画~

令和4年1月に千葉県保健医療計画の基準病床数についての見直しを行ったところ、一般病床及び療養病床にあっては、千葉、東葛南部及び東葛北部の二次保健医療圏において、病床の整備が必要となりました。

公募対象区域の機能別病床数及び必要病床数

(表)令和3年度病床機能報告

そこで、県では病床の整備計画の公募を行いましたが、東葛南部及び東葛北部の二次保健医療圏については、計画受付応募床数が必要病床数に達しないという状態になりました。さらに、県では主に回復期の病床不足を案じて公募を行ったところですが、実態としては新型コロナウイルス感染症の救急搬送が急増しており、臨機応変な医療整備計画が必要です。

我孫子市の現状

我孫子市の高齢化率は、東葛北部保健医療圏の市の中でも高く、令和4年7月1日時点の高齢化率は30.8%となっており、平成28年度の28.4%から2.4ポイント増加しています。また、令和2年度における本市の搬送人員に対する高齢者の割合は68.5%で、千葉県全体の60.5%と比較すると高く、救急搬送人員も平成28年度から約8%増加し、急性期件数も12%増加しており、県外へ7.6%の救急搬送を余儀なくされています。

また、新型コロナウイルス感染症の拡大により救急搬送はひっ迫しており、救急隊が医療機関調整から30分以上経過しても収容先が決定しない場合、一部の病院にて一時的に医師の管理下に置く特別な対応をして頂いているため、新たな感染症対応も含めた急性期病床の増床が必須です。

水野ゆうきの活動

令和5年度予算要望~医療整備計画~

新型コロナウイルス感染症の拡大により救急搬送はひっ迫しており、救急隊が医療機関調整から30分以上経過しても収容先が決定しない場合、一部の病院にて一時的に医師の管理下に置く特別な対応をして頂いているため、新たな感染症対応も含めた急性期病床の増床が必須であることを熊谷知事に対し、要望を行いました。

県民が健康で心豊かに暮らすことができる社会を実現するために、市町村の要望が叶うよう、我孫子市とも入念に協議しながら要望活動を進めています。

熊谷知事に要望書を提出する水野友貴