児童相談所の体制強化

柏児童相談所を視察する水野友貴

課題

全国及び千葉県における児童相談所が児童虐待相談として対応した件数は年々増加傾向にあります。

特に柏児童相談所(松戸・野田・柏・流山・我孫子所管)は最も増加しています。

水野ゆうきはこうした背景からも、県議当選1期目から児童虐待相談対応件数を考慮した児童福祉司の配置基準や任用要件の見直しなどを議会において質してきました。

行政が対策を講じているさなかに2019年1月の千葉県野田市において当時小学4年だった栗原心愛さんが父親に虐待され死亡するという痛ましい事件が発生しました。行政、県議会が一丸となって、児童虐待により子どもの大切な命が失われるという悲劇が繰り返されることのないよう「千葉県子どもを虐待から守る条例」の精神を具現化していくことが求められています。

【虐待かもと思ったら…】
児童相談所虐待対応ダイヤル「189」にかけると、発信した電話の市内局番等から(携帯電話等からの発信はコールセンターを通じて)当該地域を特定し、管轄の児童相談所に電話を転送します。

電話番号:189

現状と今後の取組予定

千葉県の児童相談所の児童虐待に関する相談対応件数は、令和3年度では9,593件であり、千葉市を含めると1万1,870件となり、前年度と比較すると256件増加し、過去最多となりました。 虐待の類型別では、心理的虐待が構成比2.9ポイント減、保護の怠慢・拒否が 2.2ポイント増加しています。 主な虐待者別では、実母からの虐待が3.3ポイント増加となっています。千葉県の相談対応件数の順位は全国4位千葉市を含まない)であり、平成26年度から順位は変わっておりません。

千葉県児童相談所における相談対応件数の推移

当時小学4年生だった栗原みあさんが虐待死した事件を契機とし、栗原みあさんを所管していた県立柏児童相談所の相談対応件数の多さ等から、県では児童相談所の抜本的な見直しを行い、印西市と松戸市に県立児童相談所新設を決定し、松戸市・柏市・流山市・我孫子市・野田市の5市141万人を管轄する柏児童相談所については、老朽化も踏まえ、我孫子市・流山市・野田市の3市48万人を管轄する柏の葉にある「さわやかちば県民プラザ」に建て替えることが発表されました。政令指定都市である千葉市は既に独自で児童相談所を設置しており、中核市である柏市及び船橋市は市管轄で独自設置します。

児童相談所新旧管轄区域

児童相談所新旧管轄区域
地図で見る新旧児童相談所管轄区域
種別
名称
建設地延床面積一時保護定員開設予定
新設(仮称)印旛児童相談所印西市約4,800㎡34人令和8年度
(仮称)東葛飾児童相談所松戸市約4,850㎡34人令和8年度
建替柏児童相談所柏市約4,500㎡34人令和9年度
銚子児童相談所銚子市約3,500㎡27人令和9年度

施設整備を進める一方で、児童虐待事案等に適切に対応するためには人員配置の強化や職員の職場環境改善等が必須です。千葉県では令和3年から令和6年で児童相談所の職員を110名増員することとしておりますが、児童相談所の児童福祉司、児童心理司等は不足している状況です。千葉県では人材確保のため、新たに専用ホームページを開設するなど採用に向けた広報の取組を強化していきます。また、児童相談所の業務適正化及び効率化を図るため、児童相談所支援システムを改修し、ICTを活用した業務改善事業を進めていきます。

水野ゆうきの活動

2017年2月定例県議会予算委員会

全国的な児童虐待に関する対策強化の一環として、平成28年6月に児童福祉法の一部が改正されました。 改正法ではすべての児童が健全に育成されるよう、児童虐待について発生予防から自立支援まで、一連の対策のさらなる強化を図るため、妊娠期から子育て期までの切れ目のない支援を行う「子育て世代包括支援センター」の全国展開や市町村および児童相談所の体制強化、里親委託の推進等が盛り込まれております。

そこで制度改正を踏まえ、千葉県では児童相談所の体制をどのようなに強化していくのか、水野ゆうきから森田知事に質疑を行いました。

平成27年度中に、全国208か所の児童相談所が児童虐待相談として対応した件数は103,286件で、対前年度比116.1%(14,335件の増加)で、これまでで最多の件数となっています。

特に心理的虐待が増加しており、

平成26年度:38,775件→平成27年度:48,700件(+9,925件)

という数値が厚労省で発表されています。

心理的虐待が48%で、次いで身体的虐待の割合が多く、28,621件(28%)
千葉県でも同様の傾向で心理的虐待が最も多く2,651件となっています。

児童虐待への迅速で的確な対応のために、児童相談所の体制強化と専門性の向上が重要であることは明らかです。

千葉県に関していえば平成27年度の千葉県における児童相談所の対応件数は5,568件で、全国4位と年々増加傾向にあります。

特に柏児童相談所(松戸・野田・柏・流山・我孫子所管)は5年前と比較して2.7倍以上と最も増加。

森田知事からは児童相談所では児童虐待発生時の迅速・的確な対応が求められていることから、

児相福祉司をはじめとする専門職を増員するとともに新たに弁護士を配置し、体制強化と専門性向上を図っていく

今後5年間で児童相談所の職員約200名を増員し、そのうち児童福祉司は約110名、児童心理司は約60名を増員する予定とし、児童相談所の体制強化を図っていく

という前向きな答弁を得ることができました。

具体的な配置はこれから検討をされていくことになりますが、柏児童相談所の現状等も踏まえ、職員の資質や専門性の向上とともに適切な配置を水野ゆうきから森田知事に要望いたしました。

児童福祉に関する勉強会出席

2017年8月、2018年4月に松戸市弁護士会館で行われた児童福祉に関する勉強会に出席し、弁護士、児童相談所、児童養護施設、基幹相談支援センター、市立病院小児科医等の各専門家が集まって、意見・情報交換を行いました。

一時保護を経て、施設等に分離されて保護(乳児院や児童養護施設等)されるのは4%程度で、ほとんどは家庭に戻ります。ほとんどが家庭に戻るからこそ、地域で子どもの安全をどう守っていくかが重要になってきます。

日本は0歳児の死亡率が他の先進国に比べて非常に高い背景には、望まない妊娠、若年、高齢初産(35歳以上)、未婚、経済的困難での妊娠等の精神疾患が原因として挙げられています。

特定妊婦(※特定妊婦とは妊娠中に家庭環境にリスクを抱えている妊婦のことで、出産後の養育について出産前において支援を行うことが特に必要と認められる妊婦)は全妊婦の2割程度おります。

小児科医の医師からは特定妊婦を誰が見つけてどこにつなげるかが大切とのことで、最初は地域の人が見つけることが要となり、その際は個人情報に関わらず気になる人を見つけたら市町村に連絡することが重要です。またこのことを地域の人に周知することが私たちの役割でもあると痛感しました。

現場の声を聞いて、政策に反映させていきます。

2019年2月定例県議会予算委員会

千葉県野田市で小学校4年生の女児が父親の虐待で死亡した事件について、徹底的に予算委員会において議論を行いました。

女児が自分の父親に繰り返し虐待され、何度も「SOS」を発していたにもかかわらず、行政機関の不手際等が重なり最悪の結果となった痛ましい事件。まずは一時保護解除したプロセスや理由を県から答弁をもらいました。

親族との生活を条件に一時保護を解除した後、平成30年2月28日に児童相談所の援助方針会議が開催され、その際に虐待の再発は認められないとして両親のもとに戻すことを認めており、今年に入って1月7日から長期欠席していたにも関わらず、家庭訪問を行わなかったなど、解除後のフォローや両親のところに戻してしまったことに関しては問題があったと言わざるを得ません。

いくら親がもう虐待をしない、と表面的には言っても、虐待をしていた同じ親の元に帰すということがどういうことであるのか、危機意識をもっていただきたい、と厳しく発言しました。

他にも、警察と児童相談所の連携強化として、警察と児童相談所の間における児童虐待事案の全件共有についても既に他県でも行っていることなので、児童虐待事案をすべて警察に情報提供するにあたり、課題を浮き彫りにして、検討していただきたいと要望。

全ての情報提供によって危険な兆候を警察が把握すれば、ただちに家庭訪問を行うなどして、早期に虐待を摘発できることが可能になります。

千葉県は児童相談所の組織体制を強化する方針を示し、2019年度から県内6か所の児童相談所すべてに警察OBや弁護士を非常勤で配置していく、ということを明言しておりますが、現状での配置は3児童相談所のみ。しかも、現在は非常勤で週に1回と聞いています。相談対応件数が全国的にトップクラスである児童相談所に週1で対応できているのかという点も含めて改善してく必要がありますし、非常勤という形のみならず、すぐに弁護士に相談できる体制強化・改善などに取り組む必要があります。

また、今回の事案は女児が父親からの暴力を訴えた秘密厳守の学校アンケートの写しを野田市教育委員会が威圧的な態度で迫ってきた父親に屈して渡してしまったことも今回の事件の大きな引き金にもなったと考えられます。

茨城県では高圧的な保護者に対応するため、ロールプレイングを取り入れた現場立ち入り訓練を実施しています。

千葉県では年に1回やっているとのことですが、この研修も幅を広げて、子供たちと接する関係機関がすべて参画できるような研修や訓練を行うべきであり、それぞれの組織が縦割りだからということはもはや通用しないので横ぐしでの訓練を要望しました。

また、野田市が2月19日に開催した要保護児童対策地域協議会実務者会議において、柏児童相談所の職員が途中退席したとの報道があったことにも触れ、市町村(野田市)とのコミュニケーション・調整をしっかりと行っていただくよう言いました。

次に問題視したのは児童相談所の執務環境についてです。

千葉県が管轄する6つの児童相談所への虐待相談は平成29年度に6,811件と東京、大阪、埼玉に次いで4番目に多く、特に今回の事件に関わっている柏児童相談所ですが、虐待相談対応件数は平成20年度は598件であったのに対し、平成29年度は1,742件と大幅に増加をしています。

こうした増加傾向からも千葉県は平成29年度から平成33年度の5年間で約200の職員を増員することになっており、来年度も児童福祉司や児童心理司を35人増やすことになっています。

柏児童相談所は平成27年は61人であったのに対し、平成30年には96名と着実に増えています。引き続き柏児童相談所の執務環境も改善を行っていかなくてはなりません。

水野ゆうきは責任の所在の追及に終始するのではなく、社会を構成するすべての大人が子どもを虐待から守るという1点に絞って関係機関が「虐待」という犯罪から子どもを守る実効性ある対策をとることが最優先であると考えます。

2021年1月千葉県柏児童相談所視察

柏児童相談所を視察する水野友貴

千葉県柏児童相談所に会派で視察に行きました。野田市の児童虐待死事件から千葉県及び県議会一丸となって職員の資質向上や人員体制強化など児童虐待防止策に取り組んでおり、令和3年度からは柏児童相談所の組織が見直され、調査課が「調査一課」と「調査ニ課」に分けられます。

現在、柏児童相談所が管轄しているのは松戸市、野田市、柏市、流山市、我孫子市と140万人を超えており、抜本的な見直しが必要です。

視察時の柏児童相談所の職員は112名です。 

柏児童相談所の虐待相談受付件数は2,536件(令和元年度)と平成28年度の1,942件から増加傾向にあり、職員の多忙化はもちろんのこと、子どもたちの命と安全を守るために環境整備が急務です。

一時保護所も増築により定員25名から31名に増員したものの、1日の平均保護人数は44.5名となっています。 

執務室も職員が大変多い印象もあり、建物自体も築46年を迎え、子どもたちの気持ちを考えると施設自体の雰囲気や職員のモチベーションも非常に大切だと考えます。

世の中が新型コロナウィルス感染症一色の中、今この一瞬でも辛い思いをしている子どもたちがいます。政治の役割を今一度見直し、こうした時期であっても置き去りにしない、子どもの命を最優先するために議会質疑へとつなげていきます。

2021年2月定例県議会予算委員会

水野質問:はじめに児童相談所の体制強化についてお伺いしてまいります。児童虐待相談対応件数は年々増加の一途をたどっており、令和元年度の速報値では、全国で約19万件、本県におきましては、県所管の6児童相談所で9,061件と、全国で4番目に多い件数となっております。児童虐待相談対応件数の増加に伴いまして、一時保護をされる児童も増えてきている状態です。一時保護所では、保護者からの虐待により心身に傷を受けているケースや、非行等により緊急に保護されるケースなどがあります。そのため、一時保護される子供は不安や緊張の高い状態の場合もあり、一時保護所は子供たちにとって安心でき、そして落ちつける環境であることが必要です。

2021年予算員会にて質疑する水野ゆうき

しかしながら、本県の一時保護所の定員超過の状況があり、一時保護所の増設は最も重要な取り組みの1つであると考えています。

一時保護所の定員超過に対し、県はどのように取り組んできたのでしょうか。

児童家庭課長:一時保護所は定員超過のため増設を行うこととし、令和元年度に補正予算により設計を行い、本年度に児童虐待緊急対策として工事を進めてきました。昨年12月までに予定していた4つの児童相談所の一時保護所の増設等の整備が完了し、定員は約1.5倍の171名となり、児童の生活環境は一定の改善が図られたと考えています。

水野質問:時保護所の定員超過の状況が今、ある程度は改善されたという御答弁がありましたけれども、現状はどうなのかという部分でお伺いしていきます。私の地元の我孫子市も管轄をしている柏児童相談所について詳しく聞いてまいります。

柏児童相談所の一時保護所の増設については、具体的にどのように改善をしたのでしょうか。

児童家庭課長:柏児童相談所の一時保護所の増設では、昨年10月1日に供用を開始し、定員が25名から6名ふえ、31名となっています。居室のほかにトイレ、浴室、手洗い場も増設しています。

なお、工事のために撤去していた幼児用の遊具についても再度敷地内に設置し、一時保護児童の生活環境の改善を図ったところです。

水野質問:居室がふえただけでなくて、トイレや浴室などの環境も改善された、それから定員数に関しては、25名から31名の6名定員が増加して、改善をしたというところですけれども、果たしてそれで本当に改善がされたのであるのかというところを少し疑問に思っているわけでして、私、先日、柏児童相談所を視察して状況を確認してまいりました。定員31名とはいえ、やはり令和元年度の柏児童相談所における1日の平均保護人数44.5人ということで、この31名の定員からかなり超過しており、多いときは50名近くの子供たちが保護されていて、定員の超過はいまだ解消されてないという認識をいたしました。一時保護所の定員をふやしてもなお、定員超過しておりますが、それに対してはどのように対応しているのでしょうか。

児童家庭課長:保護が必要な児童は、一時保護所の定員が超過しても、その安全を確保するために受け入れざるを得ません。一時保護所で定員超過の場合には、定員と比べ一時保護人数が多い児童相談所から少ない児童相談所へと一時保護委託を行うことにより対応することとしています。また、里親委託の推進や児童養護施設の増設などの受け皿の対策を行ってまいります。

水野質問:今、御答弁いただきましたけれども、もちろん児童の命を第一に考えて保護して安全を担保しなくてはならないということはもっともでありまして、もちろん入り口がふえれば出口もしっかりと整備をしていくということが何よりも重要になってくるわけで、これまで私も本会議であったり、予算委員会等で里親制度の推進等、たくさん要望させていただいて訴えさせていただきました。この出口の施策をしっかりと充実させていくことが必要だと思いますし、特にこの柏児童相談所に関しましては、2年前の女児虐待死事件もありましたので、ぜひ緊急避難的な対応ではなく、この問題を根本的に解消していくためには、現在検討されております児童相談所の新設は必須だと思いますので、このあたりもしっかりと取り組んでいただきたい。

そして、この児童相談所の新設に関しましては、ぜひ県の土地だけを探すのではなくて、市町村にもしっかりと協力を仰ぎながら最適な場所、形で取り組んでいただくように要望させていただきたいと思います。同時に、児童相談所の職員の雇用、そして育成にも力を入れていただきますように要望をさせていただきます。

そして、この一時保護所の入所児童数が増えてきた理由としては、やはり児童虐待相談対応件数が増加していることが大きな一因と考えられるわけですが、柏児童相談所の児童虐待相談対応件数はどのようになっておりますでしょうか。

児童家庭課長:柏児童相談所の児童虐待相談対応件数については、平成29年度1,742件、平成30年度1,912件、令和元年度は速報値で2,353件となっております。

水野質問:令和元年度の速報値で2,353件ということで、これは平成29年度の1,742件という御答弁で、比較すると35%増加しています。やはり相談対応件数が非常に増加している。この相談対応件数にしっかりと対応していくには、児童相談所と市町村との関係機関との連携が大変重要になってくると思います。

そこでお伺いいたしますが、我孫子市、柏市の要保護児童対策地域協議会の活動状況についてお聞かせください。

児童家庭課長:令和元年度の我孫子市の要保護児童対策地域協議会の活動状況は、代表者会議2回、実務者会議4回、個別ケース検討会議48回であり、柏市は代表者会議1回、実務者会議2回、個別ケース検討会議84回でした。

水野質問:この状況に対応していくには、やはり組織の人員の充実強化が欠かせないというふうに思います。そして、来年度は職員の増員に合わせて、この柏児童相談所の組織の見直しが予定されているということです。

そこでお伺いいたしますが、我孫子市を管轄する柏児童相談所の調査課を調査第一課と調査第二課に分割するということですが、どのようになるのでしょうか。

児童家庭課長:現在の柏児童相談所は執務室が狭隘化していることから、来年度から児童及びその家族の調査や支援などを行う調査課を分割し、調査第一課は現在の庁舎で我孫子市を含む柏市以外の区域を、調査第二課は柏市内の民間施設に移転し、柏市を担当することとしています。

水野要望:柏市を担当する調査第二課が柏市の中心に移転をされるということで、児童の安全確認というのがこういったことによって迅速になるとは思いますが、一方で、調査部門が執務室2カ所に分かれるということになります。現状でも、私、柏児童相談所へ視察させていただいた際に執務室が1階と2階に分かれておりました。1階と2階でと情報の共有がスムーズとは言いがたい状況でした。

そもそも場所が分かれてしまったりすると、より緊密に連携をとることが求められると思いますので、ぜひこの一課と二課が情報共有できる環境整備をしていくことも求めさせていただきたいと思います。所内での関係機関との連携を欠かすことなく、児童虐待の防止に取り組んでいただくように要望して、児童相談所の強化に対する質問は終わらせていただきます。

2021年6月定例県議会代表質問

水野質問:千葉県の児童相談所における児童虐待に関する相談対応件数は、令和元年度では9,061件であり、前年度と比較すると1,514件増加しております。虐待の類型別では、身体的虐待が前年度比754件増と最も増加していることに加え、被虐待児の年齢別では、特に小学生が前年度比689件増と増加をしているところです。

2021年6月定例県議会にて代表質問する水野ゆうき

2019年1月に発生いたしました野田市の女児虐待死亡事件から2年半が経過しようとしている中、この間、千葉県における児童相談所の課題が多数指摘され、1か所当たりの管轄人口が全国平均を大きく上回っている現状などから、管轄区域の見直しによる児童相談所の2か所新設に向けて、千葉県は候補地の選定を進め、松戸市と印西市の公有地が選定されました。

子供を虐待から守るために迅速に対策を打つことはもちろんのこと、今まさにこのときも苦しんでいる子供たちを救うためにあらゆる施策を加速させなくてはなりませんが、新設される児童相談所のスケジュールでは令和8年度開設となっております。開所までの期間は現状のまま対応に当たっていかなくてはなりません。特に現在、柏市、松戸市、流山市、我孫子市、野田市の5市140万人を管轄しております柏児童相談所並びに市川市、船橋市、浦安市、鎌ヶ谷市の4市141万人を管轄する市川児童相談所に関しましては、狭隘化やマンパワーのみならず、相談対応件数の多さからも、業務の改善は必須の事項であります。

令和8年度に新たな児童相談所が開設されるまでの間、県では増加する児童虐待事案にどのように対応していくのでしょうか。

滝川副知事答弁:児童相談所が新設されるまでの間の対応についての御質問ですが、県では、児童福祉司や児童心理司などの専門職員を増員し、児童相談所の体制強化を図っているところですが、その結果、執務室の狭隘化が生じております。そうしたことなどに対応するため、柏児童相談所では、本年4月から柏市に分室を設置し、また、市川児童相談所では、今年度中に船橋支所を開設する予定としています。児童相談所長は、子供の安全確保に関する権限が集中する中、児童虐待相談対応件数の増加による負担が大きくなっていることから、所長の負担軽減を図り、また迅速な意思決定による家庭支援が可能となるよう、現場ともよく協議しながら支所等の体制を整備してまいります。

水野質問:児童虐待防止について、児童相談所の部分で再質問させていただきます。柏市、松戸市、流山市、我孫子市、野田市のこの5市を管轄する現在の柏児童相談所は、管轄区域の見直しによりまして、我孫子市、流山市、野田市の3市を管轄し、柏市を含まない県立柏児童相談所となります。また、県立ではなく独自の児童相談所の設置を検討してきた柏市は、先日、(仮称)柏市子ども家庭総合支援センターを2026年度に開設する基本計画を発表しております。

将来的には、柏児童相談所の管轄5市約140万人のうち、柏市の43万人が市立の新施設に移管され、松戸市は新設される県立の児童相談所となることから、県立の柏児童相談所は、我孫子市、野田市、流山市の3市48万人を管轄することとなります。

今後、柏児童相談所の建て替えを進めていく上で、土地の選定はどのように検討していくのでしょうか。

健康福祉部長:柏児童相談所の建て替えに係る土地の選定についての御質問でございます。土地の選定に当たりましては、児童相談所の持つ市町村援助機能や相談機能、一時保護機能などの役割を踏まえまして、交通機関等の利便性や周辺環境等の諸条件を勘案し、管内各市の御意見も伺いながら検討を進めてまいります。

令和4年度予算要望~児童相談所の機能拡充と環境整備~

熊谷知事ならびに吉田特別秘書に対し、児童相談所の機能拡充と環境整備について予算要望を行いました。

令和4年度予算要望する水野ゆうき

●児童相談所専門職を自前で養成するための体制構築
年間1,000人の子供が一時保護され、親との厳しい対立などで、精神疾患による休職が際立って高い職場である。さらに、児相の職員として採用され、その後仕事ができなくなった際には、他の部署への異動はなく退職となるため、年間100人前後の新規採用が必要となり、職員の質確保達成の見込みはなく、県内外でも新設の児童相談所が予定されていることから専門職奪い合いの様相も避けられない。「スキル」と「経験」が求められる職業であるにも関わらず、厚生労働省によると経験が浅い職員が過半数を占めていることから、県独自で専門職を養成していく体制を整備していただきたい。子育て経験者、社会人等で適性を持つ方への学びの機会確保を視野に入れた専門職養成事業を求める。

柏児童相談所の建替に向けた具体化
柏市、松戸市、流山市、我孫子市、野田市の5市を管轄する現在の柏児童相談所は、管轄区域の見直しにより、我孫子市、流山市、野田市の3市48万人を管轄し、柏市を含まない柏児童相談所となることから、土地の選定等、関係市と早期協議を行い、具体化していただきたい。

児童相談所の職場環境改善
今後、千葉県に児童相談所が2か所増設されるが、令和8年開設まで現状での対応となる。児童相談所の職場環境は執務室の狭隘化や空調設備の故障など、課題を抱えている。スペースが十分の確保できるよう分室等を検討し、職員や子どもたちに影響を与える空調設備等は常時、点検を行い、早急に修理を行うこと。また、児童虐待件数の増加や案件の複雑化などに伴い業務量が著しく増加する中、事務作業に多くの時間が割かれている現実がある。モバイル端末等のICT利活用などを普及させ、児童相談所や他部署の庁内業務の効率化をより一層推進していただきたい。

2022年2月定例県議会予算委員会

柏児童相談所の建て替えについて

2022年2月定例会予算委員会にて質疑する水野ゆうき1

水野質問:児童相談所についてお伺いしてまいります。当時小学4年生だった栗原心愛さんが虐待死した事件から1月の24日で3年が経過いたしました。この事件を契機とし、この間、県では児童相談所の抜本的な見直しを行い、印西市と松戸市に児童相談所新設を決定し、松戸市、柏市、流山市、我孫子市、野田市の5市、141万人を管轄する柏児童相談所については、我孫子市、流山市、野田市の3市48万人を管轄する新たな柏児童相談所が、柏市の柏の葉にあるさわやかちば県民プラザに整備されることが2月の2日に発表されました。

まず、スケジュールについて確認をいたします。柏児童相談所の建て替えについて、今後のスケジュールはどうなっておりますでしょうか。

児童家庭課副参事:建て替えに係る今後のスケジュールとしては、令和4年度にかけて基本計画を策定の上、4年度から5年度にかけて基本設計を、5年度から6年度に実施設計を、7年度から8年度に工事を、そして9年度にオープンを予定しています。

水野質問:令和9年度に開所予定ということですけれども、建て替えが決定してから土地の選定等について、我孫子、流山、野田の3市からどのような要望があり、柏の葉にあるさわやかちば県民プラザの敷地に決定をしたのでしょうか。

児童家庭課副参事:3市のうち我孫子市から、いずれの地区からもアクセスがよく、一時保護児童にとって良好な環境が確保できる場所を選定してほしい旨の要望がありました。建て替え予定地の選定に当たっては、未利用公有地の活用を基本に、3市との位置関係や交通機関の利便性、敷地の広さや周辺の環境等を勘案し、さわやかちば県民プラザの敷地に決定したところです。

水野要望・質問:もともと選定に当たりましては、熊谷知事も県有地だけではなく市有地や国有地ということも含めて検討されていたと思いますけれども、やはり重要なことは、建て替えに当たってどのような児童相談所に今後していくかというところだと思います。市民のことを一番よく把握しているのが各基礎自治体でございますから、情報共有等をはじめとする連携が大変重要になってくると思います。そこでお伺いいたしますが、柏児童相談所の建て替えに伴いまして、3市とどのように連携を図っていくのでしょうか。

児童家庭課副参事:市は虐待の未然防止や早期発見の取組では中心的な役割を担っていることから、建て替え後も円滑な業務運営や迅速な虐待対応が可能となるよう、引き続き要保護児童対策地域協議会等を通じて十分な意見交換を行うなど、3市との連携に努めてまいります。

水野質問:十分な意見交換を行っていただけるとのことですけれども、今回見直しになった児童相談所につきましては、これまで相談対応件数の多さや執務室等の狭隘化などが指摘をされております。新設や建て替えによって物理的な課題はクリアしていくことが想定されていく中で、やはり今後重要になってくるのは、連携体制をはじめとしたソフト面だと思います。あらゆる機会を捉えて子供たちを守る理想の施設となるように、積極的に3市と情報・意見交換等を行っていただきますように要望させていただきます。

また、令和9年度オープンまであと5年間あります。現在の柏児童相談所につきましては、虐待相談対応件数の増加への対応と、一時保護所の定員超過の課題があります。開所までの間、現在の柏児童相談所の課題について県はどのように対応していくのでしょうか。

健康福祉部長:児童相談所における虐待相談対応件数が令和2年度には過去最多となる中、県といたしましては、増加を続ける虐待対応件数に対応するため、計画的に職員の増員を図るなど、着実に体制整備を進めてまいります。また、保護期間の長期化に伴う一時保護所の定員超過という課題につきましては、職員のケースワーク能力の向上を図るための研修の充実や、里親委託の推進など社会的養護の受皿の整備を進め、定員超過の解消に努めてまいります。

水野質問:部長から御答弁いただきましたけれども、まさに令和2年度の県内の虐待対応件数は過去最多の9,863件ということで、そのうちの約27%に当たる2,597件が柏児童相談所の所管内で発生しているという状況です。現存する柏児童相談所の対応をしっかりとやっていただきたいと思います。

それから、里親委託の推進という御答弁がありましたけれども、里親につきましては後半で質疑を行ってまいりますが、あらゆる制度や民間との連携などを駆使しながら、子供たちのことを第一に考えた施策を講じていただければと思います。

>>実績・活動状況:里親等による家庭的養護の推進はこちら

建て替えに伴いまして、やはり地域住民への丁寧な説明が必要になると思います。建て替えに向けた説明を今後地域住民にどのような形で行っていくのでしょうか。

児童家庭課副参事:建て替え予定地決定に伴う住民への説明については、さきに行った2か所増設の際と同様に、地元市及び周辺自治会等と調整の上、できる限り早期に行いたいと考えています。

水野要望:できるだけ早期に行っていただけるということで、ぜひよろしくお願いします。実際にこれまでその場所を利活用されていた方々もいらっしゃると思いますので、恐らく自治会とかそういった周辺住民ということがメインとはなると思いますが、やはり市としっかりと協議をしていただいて、幅広く説明会をしていただきたいと思います。

組織編成について

水野質問:次に、令和4年度の組織編成についてお伺いをしてまいります。児童相談所の増設や建て替えを着実に進めるために、児童家庭課に児童相談所建設室が新設されることとなります。児童家庭課に新設される児童相談所建設室の体制と業務はどのようになるのでしょうか。

児童家庭課副参事:児童相談所建設室は、7名程度の職員体制を見込んでおり、業務内容としては、児童相談所の新設及び建て替えに関する計画策定、基本設計及び実施設計に係る関係部署との調整、設計・工事に係る契約手続、地元や関係市町との調整などの業務を担う予定です。

水野質問:それでは、この児童相談所建設室にはどのような人材が求められるのでしょうか。

児童家庭課副参事:今後、児童相談所の新築や建て替えを進めていく上では、子供の最善の利益を考えた保護や養育が行える環境確保の観点を持ち、関係機関等との調整を適切に行うため、建築の専門知識を持つ者のほか、児童相談所の知識や勤務経験を有する人材や調整力、現場対応力の高い人材が求められると考えています。

水野要望:開所まであらゆる方面での調整や連携というものが必要になってくると思いますので、児童相談所業務に精通している職員にぜひ入っていただいて、着実にスケジュールどおりに進むようにお願いします。

児童相談所における外国籍児童の対応について

水野質問:次に、現在児童相談所において増加している案件の中で、特に外国籍児童の対応についてお伺いしてまいります。近年、外国籍等の子供の数が増加してきておりまして、児童相談所においても外国籍の子供を対応する事案も全国的に増えてきております。外国籍児童に関する相談はどのようなものがあるのでしょうか。

2022年2月議会予算委員会にて質疑する水野友貴

児童家庭課長:令和2年度に実施された厚生労働省の調査によると、たたくことはしつけの一環と考えているなど、日本では虐待や不適切な養育として捉えられる行為が母国では通常の育児方法と考えられているなど、文化的な差異によるものが挙げられております。

水野質問:御答弁で文化的な差異というようなこともありましたけれども、やはり私、一番のネックは言語だと思います。外国籍児童に接する際に、やはりコミュニケーションが取れないということが一番不都合なこととなっている。外国籍児童に関する相談など日本語でのコミュニケーションが難しい場合、県はどのように対応しているのでしょうか。

児童家庭課長:外国籍児童やその保護者への対応に当たっては、民間の通訳者派遣サービスや、今年度から導入した公用スマートフォンの翻訳アプリを活用し、コミュニケーションが円滑に図られるよう努めているところです。

水野要望:翻訳アプリ等を使われているということですけども、やはり言語が違うと微妙なニュアンスが伝わりにくいという問題も出てくると思います。また、言語も例えば英語とか中国語とかではなくて本当に幅広い言語が今あるというふうに聞いておりますので、やはり言語のみならず、子供たちの持つ多様性であったり多文化背景を尊重する支援も重要になってくると思いますので、時代とともに児童相談所も新たなニーズが生じてくる中で、常日頃から今御答弁いただいたような民間サービスとの連携を広げていただいたり、そして自治体等と連携をしながら対応をお願いしたいと思います。

児童相談所における学習支援について

水野質問:次に、学習支援についてお伺いしてまいります。児童福祉法に基づく一時保護が行われている児童生徒は、当該措置が行われている間、学校へ通うことができなくなります。児童相談所での学習支援に関する現状はどのようになっておりますでしょうか。

児童家庭課長:一時保護所での学習は、子供の年齢やこれまでの学習習慣、保護に至る背景の違いなど、子供の特性や学力を考慮した支援を行う必要があります。このため、学齢期の保護児童に対しましては、各児童相談所に教員資格を有する児童指導員や学習指導協力員を配置し、学習到達度などを把握した上で、個別に対応しているところです。

水野要望:個別に対応していただいているというところなんですけれども、特に、やむを得ず一時保護期間が長期化する子供等については、特段の配慮が必要であり、都道府県または市町村の教育委員会等としっかりと連携また協力をしていただきながら、子供たちの就学機会の確保に努めていただきたいと思います。

児童相談所における感染対策について

水野質問:次に、感染症対策についてお伺いしてまいります。今、質疑を行ってまいりましたが、柏児童相談所では一時保護所の過密化などが課題となっている中で、感染症対策も児童相談所の大きな役割の1つとなっております。子供を一時保護する際の感染症対策はどのように行っているのでしょうか。

児童家庭課長:新たに一時保護を要する児童については、一時保護所に入所した後、一定期間は別室で保護し経過観察を行っているところであり、この期間中に発熱等の症状が見られる場合には、本人や保護者の同意を得た上で医療機関を受診させ、PCR検査を実施しています。

水野質問:私も実際に柏児童相談所を視察する際にやはり感じたことですが、執務室も狭隘化などの課題を抱えております。2月には、東京都内の複数の児童相談所の一時保護所で新型コロナウイルスのクラスターが発生いたしました。感染が広がるおそれがあることから、新たに子供を受け入れることができないとのことで、緊急時に子供を受け入れることができなくなるといった事態に陥りました。そこで、本県の対応を伺います。児童相談所においてクラスターが発生した場合、緊急時の受入れはどのようにするのでしょうか。

児童家庭課長:緊急の一時保護が必要な事案が発生した場合には、原則として、県内の他の児童相談所へ一時保護委託を行うこととしており、クラスターの発生時であっても、子供の安全確保を最優先に考えて対応してまいります。

児童相談所の危機管理体制

水野質問:いろいろと想定外のことが起きてくると思いますので、緊急時の対応等しっかりと考えていただきたいと思います。

新型コロナウイルス感染症対策と同様に、近年では激甚化、頻発化している災害等においても十分な体制を児童相談所でも整えておく必要があると思います。
災害発生時における一時保護児童への危機管理体制はどうなっておりますでしょうか。

児童家庭課長:一時保護児童につきましては、災害発生時においても、原則として一時保護所内で生活を続ける必要があるため、72時間分の水や食料の備蓄を行うとともに、生活に必要な電力を確保するため、可搬式の非常用自家発電機を配置しています。

水野要望:災害等に対してもしっかりと備蓄等を行っていただくとともに、やはり時代の変化に伴いまして、児童相談所の在り方、新興感染症対策や防災・減災対策など、求められる役割等も非常に多くなってきていると思います。本日の質問では外国籍児童の対応を挙げましたけれども、特別な配慮が必要な児童の対応など、児童相談所の職員だけでは対応できないような場合も多々出てきているのではないかなと思います。しっかりと市町村や民間とつながって助け合えるような関係構築に努めていただくよう要望して、児童相談所の質問は終わりにさせていただきます。

2022年6月定例県議会代表質問

2022年6月定例県議会にて代表質問する水野ゆうき

水野質問:児童福祉についてです。児童福祉法第12条の規定により、知事は児童相談所の業務について、第三者評価などを実施することにより、業務の質の向上に努めなければならないとされたところです。県では、第三者評価を踏まえ、児童相談所の質の確保向上を図ることを目的とするとともに、今後の千葉県における児童虐待防止対策推進のための参考とすると述べております。こうした目的で、令和2年度は東上総児相、令和3年度は君津児相と柏児相で評価を受け、東上総児相におきましては優れている評価項目はゼロ、ガイドラインどおり適切に実施されている評価は僅か10%、やや不適切64%、不適切26%と厳しい結果でした。

例えば、子供の権利が守られるための説明や支援等、職場環境の改善としてメンタルヘルスの必要、チームワークでの対応も挙げられておりました。児童相談所の第三者評価をどのように改善につなげるのでしょうか。

滝川副知事答弁:児童福祉についてお答えいたします。児童相談所の第三者評価に基づく改善についての御質問ですが、令和2年度の評価結果では、早期の児童の安全確認や援助方針の適切な策定等について評価をいただいた一方で、人材育成や児童が意思表明しやすい環境づくりなどに関して改善の取組が必要との指摘がありましたので、職員研修の充実や児童との定期的な面談の実施などの改善を図りました。また、本年5月23日に公表した令和3年度の評価結果では、職員配置の適正化や学習環境の整備について指摘を受けていることから、これらへの対応策も含め、引き続き児童虐待防止対策に取り組んでまいります。

水野質問:さらに遡り、虐待により野田市女児が死亡したことによる児童虐待死亡事例検証報告書が今から2年半前に提出されました。その中では、市町村との連携や職員体制について厳しい指摘を受けてきました。具体的には、急増する相談や経験年数の少ない職員が多い状況であることから、児相や関係各機関の職員の事案への対応力を高めるための研修の充実と強化や児相の業務執行体制の強化を図ること、また、市町村における要対協の強化及び児相と関係機関との連携を強化することなどが示されております。

この報告書にて指摘された改善項目は、さきの第三者評価で指摘される項目と重なる内容が多いことを改めて認識し、児童相談所の質の向上は児童虐待防止の取組そのものであるという視点から伺います。児童虐待死亡事例等検証委員会による提言に対する取組の進捗状況はどうでしょうか。

滝川副知事答弁:検証委員会提言に対する取組の進捗状況に関する御質問ですが、県では、令和元年の検証委員会からの提言等を受け、令和2年6月に千葉県子どもを虐待から守る基本計画を全面的に改定し、定めた26の目標について毎年度進捗管理を行っています。これまでの主な進捗状況としては、里親等委託率の向上や児童相談所の増設、建て替えに係る候補地の決定など進展があった一方で、一時保護人数の定員超過を解消できなかったことなど引き続き取り組むべき課題がございます。県としては、改定後の基本計画の目標の達成に向けて、市町村など関係機関と連携を図りながら着実に対策を実行し、児童虐待の早期発見や被害拡大防止に努めてまいります。

水野再質問:児童福祉について再質問いたします。児相における相談対応件数は10年で4倍となっており、千葉県は一時保護期間が全国でワースト1位という現状にあります。子どもが健全に成長していくためには、家庭において適切な環境の中で養育されることがとても大切です。熊谷知事が中央児童相談所を視察された際、ツイッターにて、児相は保護の部分が注目されがちだが、保護に至る前に助言等で改善するケースが多いとの実態を伝えていく必要があると発信されていました。まさに、この部分の取組について伺います。

一時保護に至る前に助言や支援等で改善できるよう対策強化を図るべきだと思うが、どうか。

健康福祉部長:児童相談所につきまして、助言や支援等で改善できるよう対策強化を図るべきとの御質問ですが、児童相談所が受けた虐待の疑いがある相談のうちの約9割は、在宅のまま継続的な助言等により家庭状況の改善につなげており、施設入所等となったケースについても、家庭復帰に向けた継続的な支援を行っております。子供たちの安全で安心な生活のためには、家族へのきめ細やかな助言や支援が必要であり、研修の充実により職員のさらなる資質向上を図るとともに、体制強化に向けた計画的な職員の増員に取り組んでまいります。

令和5年度予算要望~児童相談所の職場環境改善~

熊谷知事に対し、児童相談所の業務効率化を図り、職員の負担軽減を図ることで児童虐待事案等に適切に迅速に対応できるよう、スマートフォン等のICT利活用の推進を要望しました。

令和5年度予算要望協議

野田市女児虐待死事件への対応

千葉県議会の対応

「千葉県子どもを虐待から守る条例の制定について」

2016年12月定例県議会において、「千葉県子どもを虐待から守る条例の制定について」(提出会派:自民党・護憲会、県民声、いんば、かとり、我孫子無所属の会)が賛成多数で可決されました。

●賛成会派:民進党、公明党、共産党
●反対会派:市社無(市民ネット、社民党等) 

2019年9月定例県議会において、「千葉県子どもを虐待から守る条例の一部を改正する条例の制定について」(提出会派:自民党、立憲民、千葉民、公明党、千翔会、一人会派・無所属議員)が全会一致で可決されました。

更に、「千葉県子どもを虐待から守る条例」の改正に伴う児童虐待防止対策のさらなる強化を求める附帯決議について(提出会派:自民党、公明党、千翔会、平和党提出)が賛成多数で可決されました。

※赤字が水野ゆうき所属会派です。

千葉県の対応

児童虐待防止緊急対策

平成31年1月に発生した本県野田市の女児虐待死亡事件を踏まえ、千葉県は再発防止に向けた「児童虐待防止緊急対策」をとりまとめました。

【補正予算規模】 1憶88百万円

児童相談所の体制強化

●児童相談所虐待防止体制強化事業 32,322千円

電話相談員の増員(中央児童相談所を7名から9名に)
児童安全確認協力員の増員(中央・市川・柏児童相談所に2名ずつ、その他銚子・東上総・君津児童相談所には1名ずつ増員)
児童虐待対応協力員(※)の増員(各児童相談所に1名ずつ増員) ※虐待対応に係る記録の整理等を行う

児童虐待法律アドバイザー事業 3,888千円

中央・市川・柏児童相談所において、弁護士の配置を週1日から週2日に拡充

●児童相談所施設等整備事業 61,390千円

一時保護所の増設
・市川児童相談所 定員4名増(20名→24名)
 完成見込み:令和2年12月

・柏児童相談所 定員4名増(25名→29名)
 完成見込み:令和2年12月

・銚子児童相談所 定員8名増(15名→23名)
 完成見込み:令和3年2月

・君津児童相談所 定員12名増(15名→27名)
 完成見込み:令和3年2月

公用車の増車
各児童相談所に1台ずつ増車

執務室転用工事等
職員増に対応した執務室確保(中央・市川・柏・君津児童相談所)

関係機関との連携強化

<学校との連携強化>

●非常勤講師の加配 53,000千円
担任教諭が児童へのきめ細かな見守りやサポートが行えるよう、 非常勤講師を小学校へ派遣(35人、市町村からの要請に応じる)

●スクールソーシャルワーカーの増員 9,300千円
各教育事務所(県内5か所)に1名ずつ配置

●教職員の対応力向上 4,700千円
教職員が不当な圧力等に毅然と対応できる体制の構築に向け、 スクールロイヤーを活用した法的相談等を実施

<市町村・児童養護施設等との連携強化>

●市町村児童虐待防止ネットワーク機能強化事業 1,600千円
市町村の要保護児童対策地域協議会の機能強化を図るために、学識経験者や臨床心理士等の専門家を派遣

児童虐待対応専門委員事業 1,800千円
児童養護施設等に入所している児童が安心して生活できるよう児童精神科医や臨床心理士等の専門家を派遣

広報・啓発の強化

子ども虐待防止地域力強化事業 20,000千円
児童相談所全国共通ダイヤル「189」や通告義務等の周知を図るため、啓発ラジオCM放送、電車内や駅構内での広告等を行う

「千葉県子どもを虐待から守る基本計画」の策定

児童虐待防止に向けた 取組をより一層強化するため、平成29年12月に策定した計画の内容を全面的に見直し、千葉県は改めて計画を策定しました。

児童虐待の防止に向けた取り組み

発生予防に向けて、妊娠期から子育て期まで切れ目のない支援体制を構築、子育て家庭を地域で支える 仕組みづくりなど、子育て家庭に必要な支援が行き届く環境の整備を進めるとともに、しつけに際して体罰が行われること のないよう県民への広報・啓発を強化する。
市町村をはじめとする関係機関への支援や連携を強化し、虐待対応力の向上を図る。

児童虐待の目標

項目現状目標期限
児童虐待による死亡事例1件(H31.1)ゼロ毎年度
子育て世代包括支援センターの設置市町村数29市町村(H30年度末)全市町村令和2年度
市町村子ども家庭総合支援拠点の設置数9市町村(H30年度末)全市町村令和4年度
  1. 子どもの権利の保障
  2. 妊娠期から子育て期までの切れ目のない支援
  3. 地域で支援する仕組みづくり
  4. 広報・啓発活動の強化
  5. 市町村への支援と連携の強化
  6. DV対策との連携の強化
  7. 関係機関との連携の強化
  8. 児童家庭支援センターの設置の推進と機能強化
家庭的養育の推進に向けた取り組み

里親の登録数や委託率の数値目標を設定し、里親委託の推進に向けた取組を強化する。

また、児童養護 施設や乳児院における子どもの養育環境の向上に向けた取組を支援するとともに、子どもたちの将来的な自立に向けた支援の強化を図る。

  1. 社会的養護が必要な子どもたち(将来推計)
  2. 里親委託の推進
  3. ファミリーホームへの支援と設置の推進
  4. 施設における家庭的養育の推進
  5. 新たな施設の整備
  6. 自立支援の充実
  7. 被措置児童等虐待の防止

里親目標

項目現状目標期限
里親等委託率(千葉県)27.9%(H30年度)40.0%令和11年度
登録里親数586組(H30年度)852組令和11年度
施設の小規模化の実施状況20施設(H30 年度末)全施設(27施設)令和11年度

>>実績・活動状況:里親等による家庭的養護の推進はこちら

児童相談所の強化に向けた取り組み

児童相談所の相談・支援体制や一時保護機能の強化、第三者評価の実施、児童相談所の増設の検討、中核市 の児童相談所の設置に向けた支援などに取り組みます。

  1. 相談・支援体制の強化
  2. 第三者評価の実施
  3. 児童相談所の増設
  4. 児童相談所の建替・執務環境の整備
  5. 一時保護機能の強化
  6. 中核市の児童相談所設置に向けた支援

児童相談所職員の増員目標

項目現状目標期限
児童相談所職員の増員260名程度の増員令和4年度
児童相談所の増設6か所2か所増設令和11年度