児童相談所の体制強化

議会で質疑する水野ゆうき

課題

全国及び千葉県における児童相談所が児童虐待相談として対応した件数は年々増加傾向にあります。

特に柏児童相談所(松戸・野田・柏・流山・我孫子所管)は最も増加しています。

水野ゆうきはこうした背景からも、県議当選1期目から児童虐待相談対応件数を考慮した児童福祉司の配置基準や任用要件の見直しなどを議会において質してきました。

行政が対策を講じているさなかに2019年1月の千葉県野田市において当時小学4年だった栗原心愛さんが父親に虐待され死亡するという痛ましい事件が発生しました。行政、県議会が一丸となって、児童虐待により子どもの大切な命が失われるという悲劇が繰り返されることのないよう「千葉県子どもを虐待から守る条例」の精神を具現化していくことが求められています。

【虐待かもと思ったら…】
児童相談所虐待対応ダイヤル「189」にかけると、発信した電話の市内局番等から(携帯電話等からの発信はコールセンターを通じて)当該地域を特定し、管轄の児童相談所に電話を転送します。

電話番号:189

水野ゆうきの活動

2017年2月定例県議会予算委員会

全国的な児童虐待に関する対策強化の一環として、平成28年6月に児童福祉法の一部が改正されました。 改正法ではすべての児童が健全に育成されるよう、児童虐待について発生予防から自立支援まで、一連の対策のさらなる強化を図るため、妊娠期から子育て期までの切れ目のない支援を行う「子育て世代包括支援センター」の全国展開や市町村および児童相談所の体制強化、里親委託の推進等が盛り込まれております。

そこで制度改正を踏まえ、千葉県では児童相談所の体制をどのようなに強化していくのか、水野ゆうきから森田知事に質疑を行いました。

平成27年度中に、全国208か所の児童相談所が児童虐待相談として対応した件数は103,286件で、対前年度比116.1%(14,335件の増加)で、これまでで最多の件数となっています。

特に心理的虐待が増加しており、

平成26年度:38,775件→平成27年度:48,700件(+9,925件)

という数値が厚労省で発表されています。

心理的虐待が48%で、次いで身体的虐待の割合が多く、28,621件(28%)
千葉県でも同様の傾向で心理的虐待が最も多く2,651件となっています。

児童虐待への迅速で的確な対応のために、児童相談所の体制強化と専門性の向上が重要であることは明らかです。

千葉県に関していえば平成27年度の千葉県における児童相談所の対応件数は5,568件で、全国4位と年々増加傾向にあります。

特に柏児童相談所(松戸・野田・柏・流山・我孫子所管)は5年前と比較して2.7倍以上と最も増加。

森田知事からは児童相談所では児童虐待発生時の迅速・的確な対応が求められていることから、

児相福祉司をはじめとする専門職を増員するとともに新たに弁護士を配置し、体制強化と専門性向上を図っていく

今後5年間で児童相談所の職員約200名を増員し、そのうち児童福祉司は約110名、児童心理司は約60名を増員する予定とし、児童相談所の体制強化を図っていく

という前向きな答弁を得ることができました。

具体的な配置はこれから検討をされていくことになりますが、柏児童相談所の現状等も踏まえ、職員の資質や専門性の向上とともに適切な配置を水野ゆうきから森田知事に要望いたしました。

児童福祉に関する勉強会出席

2017年8月、2018年4月に松戸市弁護士会館で行われた児童福祉に関する勉強会に出席し、弁護士、児童相談所、児童養護施設、基幹相談支援センター、市立病院小児科医等の各専門家が集まって、意見・情報交換を行いました。

一時保護を経て、施設等に分離されて保護(乳児院や児童養護施設等)されるのは4%程度で、ほとんどは家庭に戻ります。ほとんどが家庭に戻るからこそ、地域で子どもの安全をどう守っていくかが重要になってきます。

日本は0歳児の死亡率が他の先進国に比べて非常に高い背景には、望まない妊娠、若年、高齢初産(35歳以上)、未婚、経済的困難での妊娠等の精神疾患が原因として挙げられています。

特定妊婦(※特定妊婦とは妊娠中に家庭環境にリスクを抱えている妊婦のことで、出産後の養育について出産前において支援を行うことが特に必要と認められる妊婦)は全妊婦の2割程度おります。

小児科医の医師からは特定妊婦を誰が見つけてどこにつなげるかが大切とのことで、最初は地域の人が見つけることが要となり、その際は個人情報に関わらず気になる人を見つけたら市町村に連絡することが重要です。またこのことを地域の人に周知することが私たちの役割でもあると痛感しました。

現場の声を聞いて、政策に反映させていきます。

2019年2月定例県議会予算委員会

千葉県野田市で小学校4年生の女児が父親の虐待で死亡した事件について、徹底的に予算委員会において議論を行いました。

女児が自分の父親に繰り返し虐待され、何度も「SOS」を発していたにもかかわらず、行政機関の不手際等が重なり最悪の結果となった痛ましい事件。まずは一時保護解除したプロセスや理由を県から答弁をもらいました。

親族との生活を条件に一時保護を解除した後、平成30年2月28日に児童相談所の援助方針会議が開催され、その際に虐待の再発は認められないとして両親のもとに戻すことを認めており、今年に入って1月7日から長期欠席していたにも関わらず、家庭訪問を行わなかったなど、解除後のフォローや両親のところに戻してしまったことに関しては問題があったと言わざるを得ません。

いくら親がもう虐待をしない、と表面的には言っても、虐待をしていた同じ親の元に帰すということがどういうことであるのか、危機意識をもっていただきたい、と厳しく発言しました。

他にも、警察と児童相談所の連携強化として、警察と児童相談所の間における児童虐待事案の全件共有についても既に他県でも行っていることなので、児童虐待事案をすべて警察に情報提供するにあたり、課題を浮き彫りにして、検討していただきたいと要望。

全ての情報提供によって危険な兆候を警察が把握すれば、ただちに家庭訪問を行うなどして、早期に虐待を摘発できることが可能になります。

千葉県は児童相談所の組織体制を強化する方針を示し、2019年度から県内6か所の児童相談所すべてに警察OBや弁護士を非常勤で配置していく、ということを明言しておりますが、現状での配置は3児童相談所のみ。しかも、現在は非常勤で週に1回と聞いています。相談対応件数が全国的にトップクラスである児童相談所に週1で対応できているのかという点も含めて改善してく必要がありますし、非常勤という形のみならず、すぐに弁護士に相談できる体制強化・改善などに取り組む必要があります。

また、今回の事案は女児が父親からの暴力を訴えた秘密厳守の学校アンケートの写しを野田市教育委員会が威圧的な態度で迫ってきた父親に屈して渡してしまったことも今回の事件の大きな引き金にもなったと考えられます。

茨城県では高圧的な保護者に対応するため、ロールプレイングを取り入れた現場立ち入り訓練を実施しています。

千葉県では年に1回やっているとのことですが、この研修も幅を広げて、子供たちと接する関係機関がすべて参画できるような研修や訓練を行うべきであり、それぞれの組織が縦割りだからということはもはや通用しないので横ぐしでの訓練を要望しました。

また、野田市が2月19日に開催した要保護児童対策地域協議会実務者会議において、柏児童相談所の職員が途中退席したとの報道があったことにも触れ、市町村(野田市)とのコミュニケーション・調整をしっかりと行っていただくよう言いました。

次に問題視したのは児童相談所の執務環境についてです。

千葉県が管轄する6つの児童相談所への虐待相談は平成29年度に6,811件と東京、大阪、埼玉に次いで4番目に多く、特に今回の事件に関わっている柏児童相談所ですが、虐待相談対応件数は平成20年度は598件であったのに対し、平成29年度は1,742件と大幅に増加をしています。

こうした増加傾向からも千葉県は平成29年度から平成33年度の5年間で約200の職員を増員することになっており、来年度も児童福祉司や児童心理司を35人増やすことになっています。

柏児童相談所は平成27年は61人であったのに対し、平成30年には96名と着実に増えています。引き続き柏児童相談所の執務環境も改善を行っていかなくてはなりません。

水野ゆうきは責任の所在の追及に終始するのではなく、社会を構成するすべての大人が子どもを虐待から守るという1点に絞って関係機関が「虐待」という犯罪から子どもを守る実効性ある対策をとることが最優先であると考えます。

千葉県議会の対応

「千葉県子どもを虐待から守る条例の制定について」

2016年12月定例県議会において、「千葉県子どもを虐待から守る条例の制定について」(提出会派:自民党・護憲会、県民声、いんば、かとり、我孫子無所属の会)が賛成多数で可決されました。

●賛成会派:民進党、公明党、共産党
●反対会派:市社無(市民ネット、社民党等) 

2019年9月定例県議会において、「千葉県子どもを虐待から守る条例の一部を改正する条例の制定について」(提出会派:自民党、立憲民、千葉民、公明党、千翔会、一人会派・無所属議員)が全会一致で可決されました。

更に、「千葉県子どもを虐待から守る条例」の改正に伴う児童虐待防止対策のさらなる強化を求める附帯決議について(提出会派:自民党、公明党、千翔会、平和党提出)が賛成多数で可決されました。

※赤字が水野ゆうき所属会派です。

千葉県の対応

児童虐待防止緊急対策

平成31年1月に発生した本県野田市の女児虐待死亡事件を踏まえ、千葉県は再発防止に向けた「児童虐待防止緊急対策」をとりまとめました。

【補正予算規模】 1憶88百万円

児童相談所の体制強化

●児童相談所虐待防止体制強化事業 32,322千円

電話相談員の増員(中央児童相談所を7名から9名に)
児童安全確認協力員の増員(中央・市川・柏児童相談所に2名ずつ、その他銚子・東上総・君津児童相談所には1名ずつ増員)
児童虐待対応協力員(※)の増員(各児童相談所に1名ずつ増員) ※虐待対応に係る記録の整理等を行う

児童虐待法律アドバイザー事業 3,888千円

中央・市川・柏児童相談所において、弁護士の配置を週1日から週2日に拡充

●児童相談所施設等整備事業 61,390千円

一時保護所の増設
・市川児童相談所 定員4名増(20名→24名)
 完成見込み:令和2年12月

・柏児童相談所 定員4名増(25名→29名)
 完成見込み:令和2年12月

・銚子児童相談所 定員8名増(15名→23名)
 完成見込み:令和3年2月

・君津児童相談所 定員12名増(15名→27名)
 完成見込み:令和3年2月

公用車の増車
各児童相談所に1台ずつ増車

執務室転用工事等
職員増に対応した執務室確保(中央・市川・柏・君津児童相談所)

関係機関との連携強化

<学校との連携強化>

●非常勤講師の加配 53,000千円
担任教諭が児童へのきめ細かな見守りやサポートが行えるよう、 非常勤講師を小学校へ派遣(35人、市町村からの要請に応じる)

●スクールソーシャルワーカーの増員 9,300千円
各教育事務所(県内5か所)に1名ずつ配置

●教職員の対応力向上 4,700千円
教職員が不当な圧力等に毅然と対応できる体制の構築に向け、 スクールロイヤーを活用した法的相談等を実施

<市町村・児童養護施設等との連携強化>

●市町村児童虐待防止ネットワーク機能強化事業 1,600千円
市町村の要保護児童対策地域協議会の機能強化を図るために、学識経験者や臨床心理士等の専門家を派遣

児童虐待対応専門委員事業 1,800千円
児童養護施設等に入所している児童が安心して生活できるよう児童精神科医や臨床心理士等の専門家を派遣

広報・啓発の強化

子ども虐待防止地域力強化事業 20,000千円
児童相談所全国共通ダイヤル「189」や通告義務等の周知を図るため、啓発ラジオCM放送、電車内や駅構内での広告等を行う

「千葉県子どもを虐待から守る基本計画」の策定

児童虐待防止に向けた 取組をより一層強化するため、平成29年12月に策定した計画の内容を全面的に見直し、千葉県は改めて計画を策定しました。

児童虐待の防止に向けた取り組み

発生予防に向けて、妊娠期から子育て期まで切れ目のない支援体制を構築、子育て家庭を地域で支える 仕組みづくりなど、子育て家庭に必要な支援が行き届く環境の整備を進めるとともに、しつけに際して体罰が行われること のないよう県民への広報・啓発を強化する。
市町村をはじめとする関係機関への支援や連携を強化し、虐待対応力の向上を図る。

児童虐待の目標
項目現状目標期限
児童虐待による死亡事例1件(H31.1)ゼロ毎年度
子育て世代包括支援センターの設置市町村数29市町村(H30年度末)全市町村令和2年度
市町村子ども家庭総合支援拠点の設置数9市町村(H30年度末)全市町村令和4年度
  1. 子どもの権利の保障
  2. 妊娠期から子育て期までの切れ目のない支援
  3. 地域で支援する仕組みづくり
  4. 広報・啓発活動の強化
  5. 市町村への支援と連携の強化
  6. DV対策との連携の強化
  7. 関係機関との連携の強化
  8. 児童家庭支援センターの設置の推進と機能強化

家庭的養育の推進に向けた取り組み

里親の登録数や委託率の数値目標を設定し、里親委託の推進に向けた取組を強化する。

また、児童養護 施設や乳児院における子どもの養育環境の向上に向けた取組を支援するとともに、子どもたちの将来的な自立に向けた支援の強化を図る。

  1. 社会的養護が必要な子どもたち(将来推計)
  2. 里親委託の推進
  3. ファミリーホームへの支援と設置の推進
  4. 施設における家庭的養育の推進
  5. 新たな施設の整備
  6. 自立支援の充実
  7. 被措置児童等虐待の防止
里親目標
項目現状目標期限
里親等委託率(千葉県)27.9%(H30年度)40.0%令和11年度
登録里親数586組(H30年度)852組令和11年度
施設の小規模化の実施状況20施設(H30 年度末)全施設(27施設)令和11年度

実績・活動状況:里親等による家庭的養護の推進について

児童相談所の強化に向けた取り組み

児童相談所の相談・支援体制や一時保護機能の強化、第三者評価の実施、児童相談所の増設の検討、中核市 の児童相談所の設置に向けた支援などに取り組みます。

  1. 相談・支援体制の強化
  2. 第三者評価の実施
  3. 児童相談所の増設
  4. 児童相談所の建替・執務環境の整備
  5. 一時保護機能の強化
  6. 中核市の児童相談所設置に向けた支援
児童相談所職員の増員目標
項目現状目標期限
児童相談所職員の増員260名程度の増員令和4年度
児童相談所の増設6か所2か所増設令和11年度